ダ ニ


 

「かゆみ」被害調査時、採取した家屋内のゴミを観察すると、いろいろなダニが見つかります。

 

 - 家屋内から見つかるダニ -

種類 餌または食性 生息・発生場所 被害 防除対策

チリ

ダニ類

人のフケや垢等

畳、カーペット、寝具類、

家具類、衣類、ぬいぐるみ等

アレルギー性疾患

室内や寝具類の

掃除

ホコリ

ダニ類

カビ等

畳、カーペット、寝具類

なし

 

 

コナ

ダニ類

カビや貯蔵食品

畳、家具類、食品類、

その他カビの発生している場所

大量発生して不快

(夏季)

湿度対策

結露防止

ニク

ダニ類

カビや貯蔵食品

畳、家具類、食品類、

その他カビの発生している場所

大量発生して不快

(冬季)

湿度対策

結露防止

イエササラ

ダニ

カビ等 なし  

カザリヒワ

ダニ

カビ等 なし  

ササラ

ダニ類

腐植性

畳、

屋外の土壌中・落葉中(迷入)

なし  

マヨイ

ダニ科

ダニを捕食

(捕食性)、カビ等

畳等 なし  

ダニ類

植物に寄生

(植物寄生性)

植物上

刺咬被害の

報告あり

寄生植物対策

ツメ

ダニ類

ダニや昆虫を

捕食(捕食性)

畳、餌になるダニや昆虫が

発生した場所

刺咬による

「かゆみ」被害

主に畳の

高周波処理

シラミ

ダニ

昆虫に寄生

(昆虫寄生性)

畳、昆虫体表

刺咬による

「かゆみ」被害

寄生昆虫の

駆除後

殺虫剤処理

イエ

ダニ

ネズミに寄生して

吸血

ネズミの巣・体表

刺咬による

「かゆみ」被害

ネズミの

駆除後

殺虫剤処理

ワクモ

鳥類に寄生して

吸血

鳥類の巣・体表

刺咬による

「かゆみ」被害

鳥の巣

除去後

殺虫剤処理

トリサシ

ダニ

鳥類に寄生して

吸血

鳥類の巣・体表

刺咬による

「かゆみ」被害

鳥の巣

除去後

殺虫剤処理

 - アレルギー性疾患の原因となるダニ・・・チリダニ類 -

 室内から見つかるダニの約 60~90%近くがこのダニで占められ、これらの死骸や

脱皮殻、糞などがアレルギー性喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を

引き起こすと言われています。

 

 チリダニ類は、鳥類の巣、哺乳類の寝床、貯蔵食品、住居などから見つかり、動物

の表皮剥離物を食べています。居住環境では、フケや垢が餌となります。

 従って、人が生活している場所ならどこでも見つかり、事務所ビル、ホテル、宿舎

病院、劇場や乗り物の座席等でも見つかります。

 (ヤケヒョウダニ)

 

 逆に、入居前の新築家屋といった人が居ない場所では、家屋内であっても殆ど見つかりません。

 家屋内での生息場所は、寝具、畳、カーペット、板間、ソファー等あらゆる場所であり、特に管理状況の

悪い部屋や寝具、或いはカーペット等に多く見られます。

 

 WHO(世界保健機関)の基準によると、チリダニ類の一種であるヤケヒョウヒダニの糞由来のアレルゲン

量は室内塵 1gあたり 2μgが感作の閾値であり、これはチリダニ数にすると 100匹/gに相当すると言われて

います。

 

 チリダニ類は、居住空間のいろいろな場所に生息しているので、駆除を行うより、被害の起こらない範囲

まで数を抑えることが大事です。従って、湿度対策や部屋の掃除等、日常の管理が重要になります。

 

 - 大量発生して不快感を与えるダニ・・・コナダニ類、ニクダニ類 -

 食品を害するダニであり、貯蔵食品に大量発生するときがあります。

 また、食菌性のダニであるため、カビとの関連性が強いです。

 

 コナダニ科のケナガコナダニの場合は、夏季に畳、或いは押入れ、家具の

裏等が高湿度によりカビっぽくなると、大量発生するときがあります。

 

 

 

(ケナガコナダニ)

 

 一方、ニクダニ科のイエニクダニの場合は、冬季に窓際、壁、ドア等が結露

してカビが生じた際に大量発生するときがあります。

 

 対策としては、結露防止及びカビ対策が重要なポイントとなります。

 カビが生じ、ダニが発生した場所は、市販のカビ取り剤によって、まずカビを

拭き取ることが大事です。

 

 

 (イエニクダニ)

 - 「かゆみ」被害の原因となるダニ -

1.吸血して「かゆみ」被害のあるダニ・・・イエダニ、トリサシダニ、ワクモ

 

 本来、ネズミに寄生して吸血しているのがイエダニ、鳥類に寄生して吸血している

のがトリサシダニやワクモです。

 

 イエダニではネズミが家屋内に進入してきてダニを落とした際、トリサシダニやワクモ

では家屋に作られた鳥の巣等でダニが大量発生した際に被害があります。

 

  (イエダニ)

 

 体長はどちらも 0.8mm内外で、肉眼でも見えます。被害時期としては、イエダニの場合はネズミの繁殖

する春秋に多く、トリサシダニやワクモの場合は鳥が巣立つ 4~5月頃に多いです。

 対策としては、本来の宿主の駆除対策がまず必要となります。

 

 

2.刺咬して「かゆみ」被害の原因となるダニ・・・ツメダニ類、シラミダニ

 

 ツメダニ類は捕食性のダニで、刺す口を有し、他のダニや小昆虫などを捕らえて

体液を吸っています。

 

 畳などでコナダニ類やチャタテムシが大量発生した後、このツメダニが大量発生し

偶発的に人を刺して「かゆみ」の害を及ぼします。

 

 (ミナミツメダニ)

 

 シラミダニは小昆虫の体液を吸って生きている寄生性のダニであり、攻撃的で刺されると非常にかゆいです。

このダニは畳の中に生息する甲虫や蛾の幼虫に寄生していることがあり、人を偶発的に刺して「かゆみ」を

起こします。

 

 対策としては、どちらも主に畳の処理が必要となります。処理方法としては、有機リン系殺虫剤や熱処理

(高周波処理)、燻蒸処理があります。しかし、ミナミツメダニは有機リン系殺虫剤への感受性が低く、効果が

少ないため、熱処理が有効です。